深夜のお猫さま
我が家には元保護猫のお猫さま(オス)が一匹暮らしている。
引き取ったのは2歳ごろで、特に怪我や病気などもなく、あっという間にシニア猫になって今に至る。最初に彼の存在を知ったのは、保護猫を譲り受けたいと考えて色々な保護猫関連のサイトを眺めていた時だった。
写真にうつる彼の姿は、ま〜とにかく暗かった。
画像のキャプションには「ちょっとびびりさん」みたいなことが書かれていたように思う。そうだろうなと思わず頷いてしまったというか、ちょっとどころじゃないかもと感じる写真だった。一体どんな経験をしたら、まだあどけなさの残る子猫がここまで暗い表情ができるのか。なんだか目が離せなくなって譲渡会に行ってみることにした。
当日、彼はケージの中でびびりたおしていた。他の猫ちゃん達は来場者をのんびり観察したり、かまって全開でピョンピョン飛び跳ねていたりと自由に過ごしているのに、彼は今にも気絶しそうな雰囲気を漂わせて極限まで小さく丸くなっていた。担当者さんの許可を得て、そっと抱っこしてみると・・・すぐに拒絶の唸り声をあげた(めっちゃ小さい声で)。なんだかもういたたまれないというか、びっくりさせてごめんねとしか言えなかった。私はその場で彼の里親を申し出た。かわいそうとか私がなんとかしてあげなきゃとか、そういう同情?の気持ちはあんまり無かったように思う。「何があったか知らんけど、うちくる?たぶん楽しいよ」という根拠なき自信みたいなものはあった。ほぼ直感みたいなもん。まずはお試しで1週間、我が家に来てもらうことになった。
到着したその日は完全拒否といった具合いで、ケージの中で気配を消して過ごしていたけれど、ちょっとずつこちらに関心を示す動作をしてくれるようになり、数日後には少しだけケージから出ておもちゃで遊ぶまでになった。そこからはめちゃくちゃ早くて、一気に打ち解けていった。抱っこは一生難しいかもしれないと保護猫団体の担当者さんから言われていたが、1ヶ月くらいで膝の上に乗ってきてくれるようになり、その流れで数日後には抱っこを数秒だけ出来るようになった。ほんまに何があったか知らんけど、心から彼の幸せを願った(今も願っている)。
保護された時、彼は段ボール箱の中で横たわっていたらしい。近くには母猫と兄弟たちもいたけれど、みんなガリガリ。どうやらご飯にうまいことありつけず、母子で路頭に迷っていたようだ。たぶん保護されるのがあと少しでも遅かったら彼は死んでいたんじゃなかろうか。ほんまによ〜頑張ったよアンタ。保護猫団体の皆さまも本当にお疲れ様です!ありがとうございます!
その後、彼はよく食べよく寝てよく遊び、はじめは忍者のように音もなく歩いていたのがいつの間にやらドタドタ歩くようになり(太ったわけではなく、存在を知らせるためにわざとそう歩いているなという感じ)、かまって欲しいとソフトな頭突きをかまし、早くうんちを片付けろとクソデカボイスで催促してくるまでになった。何が彼にとって良かったのかは分からないけど、楽しんで暮らしてくれているならいいなと思う。
そんな彼は小さい頃から今に至るまで、深夜になるとどこからともなく現れ(日中はたいてい窓辺のカーテンの裏で寝ている)、家の中をひとつひとつ点検してまわるという大変忙しい日々を過ごしている。時間帯が重なるし、この秘密基地のパートナーに最高かと思いきや、あんまりかまってあげられないのでいつも不服そうにどこかに行ってしまう。あともりもりうんちもする。だいたい2時くらい。人が「さ〜そろそろ寝るか」と片付けを終えたタイミングでうんちが始まることがよくある。彼はうんちが終わったあとだけでなく、始まる前にも「お知らせ」のクソデカボイスアラートを発してくれる。深夜2時である。更に、今暮らしている場所には地域猫がいて、その子が来ると(と言っても外で鳴いているだけだが)もっとクソデカボイスで会話し始める(戸締まりしているので家の壁越しに話している状況になる。狂気)。そしてその声で子どもがたまに起きてキレ泣きするというなんだかもう意味がわからない感じになることもしばしば。
ちなみにこちらが早々に作業を切り上げて熟睡している場合、クソデカボイスに気付かず朝を迎えることが結構ある。慣れると意外と気付かないもんなのだ。そういう時、彼は親切にも朝5〜6時くらいに起こしに来てくれる。もうちょっと遅い時間にしてくれてもええんやで。
この記事を書いている今、近くに彼はいない。だいたい日付が変わる頃はうたた寝していることが多い。最近は朝晩が冷えるから動くのは必要最小限にしているふしがある。すでに冬毛でパンパンやけど、あれでどうして猫ちゃんって寒がりなのか、不思議・・・。
以上、今まで彼のことを記録する機会があんまり無かったので、試しに書いてみた。今後もまた書くかも。ずっと語ってられるねほんとかわいい大好き。